弱点

中学の時、背が高くて色は白く、髪の毛も地毛がやや茶色でまあいうなればハンサムな同級生がいた。

その男の子は、カッコつけだった。
どんなんかというと、かわいい女の子を廊下の壁際に立たせ、
自分はと言えばその横で、右手を壁に付けて体は斜めに立つ。

もうはっきりいってポーズは大人顔負けである。
ウブだったあたしは見てはいけないものを見たみたいだった。恥ずかしいー。

そしてクラスの用事で喫茶店に行く事があって、
またもやウブなあたしはその頃喫茶店なんて行ったことなかったし、
(中学生で喫茶店って用事なくない??違うの??)

オレンジジュースくらいしかオーダーするメニューが思いつかないあたしの横で、
その子は中学生のクセに「レスカ」と言い放ったのでした。

す、すごい、この人レモンスカッシュのことを「レスカ」だって。なんだか喫茶店に慣れてる?
なんて思ったほど、どこへ行ってもカッコつけ全開だった。

しかし人間誰しも弱点があって、その男の子の弱点は泳げないことだった。
中学ではプールがあって、水泳大会が毎年開催され、
カッコつけ君としては、泳げないなんて辞書にはないはずだが、泳げんもんは泳げんかったのだ。

で、水泳大会で何に出るのかと思いきや、ビート板競争では余りにかっこ悪いと思ったのか、
25m自由形に出る事に。うう、どうなるんだろ。プールサイドで見守る私たち。

ヨーイ、パン。
スタートだ。カッコつけ君がんばって泳いでみる。・・・・・でもやっぱ泳げないので、すぐ立つ。手で顔をブルブル。そして2〜3歩前へ、距離稼ぐ。

でまた泳いでみる。・・・やっぱダメで立つ。手で顔をブルブル。2〜3歩前へ。の繰り返し。

ようやく中間あたりまで来たところでまた力尽き、立った。
しかし、何を間違えたのか、立った瞬間にくるっと後ろ向いちゃったよ。

あれ??  そしてその子は迷うことなく今来た道を同じ事をして誰もいないスタート地点まで帰っていっちゃった。
全員唖然。 スタートに戻った本人も気付いて唖然。

見てはいけないものを見るのが不得意なあたしは見てるのがつらかった。
中学生ながらに心が痛んだ。

そう遠くない!?中学生の頃を思い出し、ちょっと懐かしんでみました。いひひ。